シュッとしていながらも、かわいらしさもある顔立ちで人気のボーダーコリーですが、みなさんは“ブルーマール”という言葉をご存知でしょうか?
後にも詳しくお話ししますが、タイトルの画像にもあるようなグレーや白と黒が入り混じったようなカラーのことを言います。
ブルーマールはレアなカラーで一般的な白と黒のコントラストのブラック&ホワイトとは印象がかなり違うと思います。
どこかエキゾチックでありながらもかっこよさもありますよね!
しかし、ブルーマールは遺伝子の関係上、病気やもともと体が弱いことなどもあり飼育するのに注意が必要な種類でもあります。
またどの動物についてでもですが、飼育する人間側だけでなく、動物たちの幸せを考えるいわゆる“動物福祉”についても考えないといけないと思います。
今日はレアでありながらも特有の病気もあるボーダーコリーのブルーマールから動物福祉について考えていけたらと思います。
ブルーマールとは?
さきほどもありましたが、ブルーマールはカラー自体を指す言葉です。
ブルーマールという名前の由来は大理石のようなブチ模様があることから大理石を意味するマールがついています。
(余談ですが日本語で書くとマールだけでなく“マーブル”とも書くことがあります。某チョコの関係でマーブルの方が、馴染みがある人も多いかもしれませんね笑)
またブルーマールだけでなく、レッドマールやブラウンマールなどもあり、ブルーマールと同様にレアなカラーとなっています。
ここからはブルーマールについてもう少し掘り下げてお話していきます。
どのように生まれるか?
ブルーマールのボーダーコリーは遺伝子に“マール因子”というものが含まれていることで生まれます。
マール因子が遺伝子構造上で働くと、色素が薄くなり体の全体ないし一部が、グレー味がかかった色素の薄い色になります。
つまり、遺伝子上の要因でブルーマールが生まれていることになります。
ブルーマールの希少性
○○匹に1匹というような確率などの数値的なものは明らかになっていませんが、ボーダーコリーのカラーごとの平均価格から迫りたいと思います。
2位(同率)…レッド&ホワイトとトライカラー…約23万円
4位…ブルー&ホワイト…約21万円
5位…ブラック&ホワイト…約20万円
これを見ると、ブルーマールだけが他の色と比べて少し抜けて平均価格が高いことがわかります。
つまり、それだけ希少性があるカラーと言えるでしょう。
ポケモンで言えば“色違い”のような存在とも言えるでしょう。
しかし、この希少性が後にお話しする動物福祉についても関係があります。
ブルーマールが珍しい故に値段も高くなりやすいことは覚えて頂けたらと思います。
ブルーマールのなりやすい病気
先ほどブルーマールは遺伝子上のマール因子によって誕生するとお話ししました。
このマール因子は色素を薄くする作用があるとお話ししましたが場合によっては、身体に作用することがあります。
マール因子が身体に作用すると、身体機能が著しく低下することが報告されています。
影響の出方としては、遺伝子上の作用なので出生時からの先天性の疾患が多いです。
例えば、耳が聞こえなかったり、目が見えないなど、聴覚、視覚などの感覚や心疾患などの先天的な疾患があります。
先天的であるが故に、初めてボーダーコリーやひいては動物を飼う人としては、その異変に気付きづらいという可能性はあるかと思います。
どうすればボーダーコリーや動物たちの“福祉”を守れるか
ここからはテーマが壮大になりますが、動物福祉について一緒に考えていきたいと思います。
動物福祉とは“動物が精神的・肉体的に充分健康で、幸福であり、環境とも調和していること”を指しています。
また、1960年代のイギリスでは動物福祉の基本として下記の5つの自由を制定しました。
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・傷害・病気からの自由
- 恐怖や抑圧からの自由
- 正常な行動を表現する自由
この5つの自由が国際的にも動物福祉の基本として認められ、EUではこれを基に法令や指令が定められています。
(参考:動物福祉について|公益社団法人日本動物福祉協会 (jaws.or.jp))
人間にも言える大事な自由とも言えると思います。
今回は主にボーダーコリーのブルーマールの“痛み・傷害・病気からの自由”に注目して動物福祉について考えましょう。
交配から見る
ブルーマールに代表されるマール種はマール種同士で交配すると先ほど述べたような先天的な障害が25%の確率で発生します。
マールを生み出そうとする場合、両親のどちらかがマール因子を持っている必要があります。
なので、マール種の交配は生まれてくる子の健康を考えると望ましくないとされています。
しかし、先ほども述べましたがブルーマールはその希少性ゆえに高価で取引されます。
場合によっては高価で取引できるブルーマールを生み出そうという悪意を持って交配する可能性も考えられるのです。
これは、5つの自由という次元よりも根本的に、動物の命をモノとして見ている許されない行為であることは言うまでもないでしょう。
そのような身勝手な理由から、先天的な疾患を持ちやすいマール種を作為的に生み出すのは痛み・傷害・病気からの自由を侵害していると言えます。
動物福祉のために飼い主ができること
上記のような悪意を持つブリーダーやペットショップは残念ながら存在するかもしれません。
もちろん、ブリーダーやショップの全てがそうではなく、善意のあるところが大多数であるとは思います。
しかし、ボーダーコリーの幸せを考えると慎重に考えて行動する必要はあるのではないでしょうか。
また、何度かお話してきたとおりブルーマールは先天的に疾患を持ちやすいという特徴もあります。
そこで、ボーダーコリーもとい動物の幸せをより向上させるためには、購入する先のブリーダーやペットショップとしっかり意思疎通を図ることがあります。
どのようなことで意思疎通を図るかというと、飼いたいと思う個体をどのように育ててきたか、どのような特徴があるか、について話し合うことがあります。
このコミュニケーションの中でもし悪意のあるブリーダーやショップだったら不誠実な回答や整合性が合わないことなどもみられるのではないでしょうか。
またどんな動物にも言えますが、飼い主がしっかり状態を把握したうえで、その個体にとって最適な環境を作ることに努めることも重要となります。
ボーダーコリーは賢い犬種ゆえにしつけが難しいなど、少し飼うことが大変な一面もあります。
先ほどは私も慎重に行動する必要あると言いましたが、ブリーダーやショップとしっかりパートナーシップが築けたら心強いですよね!
ブルーマールを始めとした飼育する動物の福祉を守るためには専門家であるブリーダーやショップを見極めながら、協力して一緒に過ごせていけたらいいですね。
まとめ
今回は、ブルーマールの特徴から、動物福祉というかなり大きなテーマについてお話ししましたが、まとめのキーワードとしては以下のとおりです。
- ブルーマールは遺伝子上の要因で生まれるので先天性の疾患が起こる場合がある。
- ブルーマールは希少性が高い故に悪意のある専門家がいるかもしれない。
- 専門家としっかりコミュニケーションをとることで善意の専門家かどうかを見極め、協力関係を作っていくことが重要である。
動物を飼う中で、飼い主側が経済的な要因などで余裕がなくなり、動物を捨ててしまうことは残念ながら現在でもあります。
当然、こんなことは許されないので動物を飼うにおいて飼い主側にもある程度の余裕と命を預かる覚悟が必要でしょう。
しかし、そんな重大な責任も1人で背負いきれなくなるパターンもあり得ると思います。
そんな時に、専門家や一緒に動物を飼っている仲間などがいて、その責任をシェアできれば、飼い主にとって助けになるでしょう。
飼い主がゆとりを持つことができたら、ブルーマールなどをはじめとした動物たちも幸せに暮らせる環境が充実し、人間も動物も幸せになれるでしょう。