牧羊犬がベースで、スポーティーな雰囲気を漂わせながらも気品のある顔立ちで人気を博しているのが、ボーダーコリーです。
ボーダーコリーは非常に賢く人間の5歳児程度の知能も持つと言われているなど、賢いが故にしつけが難しいこともありますが、魅力のある犬種とも言えるでしょう。
また、ボーダーコリーの主流のカラーは白黒のツートンカラーのような“ブラック×ホワイト”が主流ですが、まれにグレーがかったブチ模様のある“ブルーマール”もいます。
ブルーマールはボーダーコリーのカラーの中では希少とされており、購入する際の平均の単価もブルーマールだけ他のカラーと比べて高くなっています。
しかし、ブルーマールは遺伝子上の“マール因子”が作用してブルーマールのカラーになるので遺伝的な疾患を気にされる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、どの動物でも言えますがせっかく飼うようになったら末永く仲良く一緒にいたいですよね?
そこで今回は、ボーダーコリーやブルーマールの寿命に迫り、末永く一緒に暮らすために気をつけるべきことはどういうことかについて迫りたいと思います。
ボーダーコリーの寿命はどれくらい?
単刀直入に言うと、平均寿命は13.2歳と言われています。
なお、ペット保険を取り扱っている“アニコム損保”による調査の結果です。
(参考:家庭どうぶつ白書2016よりbook_201612_1.pdf (anicom-page.com))
まあ、こんな感じの数値かなと思える平均寿命ではないかな、と思います。
この調査によると犬全体の平均寿命が13.7歳と犬全体の平均とあまり変わらないようになっています。
ここからは、様々な切り口からボーダーコリーないしブルーマールの寿命について迫っていきます。
他の犬種と比べて
先ほどもお話ししましたが、ボーダーコリーの平均寿命は犬全体の寿命とあまり変わらず、ほぼ平均的な長さと言えると思います。
また、犬は体が小さい犬種の方が、平均寿命が長くなる傾向があります。
ちなみに、先ほどのアニコム損保の家庭どうぶつ白書2016での調査では、サイズごとの平均寿命は以下の通りになっています。
2位…超小型犬(13.8歳)
3位…中型犬 (13.6歳)
4位…大型犬 (12.5歳)
5位…超大型犬(10.6歳)
小型犬が超小型犬を抑えて1位になっている以外は上から体が小さい順になっていることが見て取れると思います。
ボーダーコリーは中型犬にあたるので、ボーダーコリーの平均寿命(13.2歳)は中型犬の中ではほぼ平均的な寿命と言えるでしょう。
余談ですが、上記の調査での平均寿命1位の犬種は超小型犬であるトイ・プードルで15.3歳をマークしています。
ボーダーコリーと比べると2.1歳長く、かなり長生きであることが感じられます。
なお、ボーダーコリーは31犬種中20位でした。
順位にすると少し寿命が短いようにも感じられますね…
ブルーマールと他のカラーとの違いは?
結論から言うと、ブルーマールと他のカラーとの寿命の違いがわかるデータはありません。
しかし、はじめに話した通りブルーマールは遺伝子上の疾患が他のカラーと比べると起こりやすいことを考えると寿命は少し短いと私は予想しています。
ただ、寿命は少し短いかもしれませんが、それでも長く一緒にいられるための方法はあると思います。
次の章からは、具体的にどのようにすれば健康上ハンディがあるブルーマールと幸せに長く一緒に暮らせる方法を考えたいと思います。
長く一緒に暮らすにはどうすればいいか?
ブルーマールと長く一緒にいるために行うことの基本として、以下のようなことが挙げられます。
- 健康管理
- 運動
- 飼育環境
特に運動は、もともと牧羊犬がベースになっている犬種で運動がとても大好きな犬種なので、1日1時間ほどの散歩を2回行うことが目安であると言われています。
あとの健康管理と飼育環境については、犬の健康状態に直接影響を与えるもので、体の健康だけでなく、ストレスケアなどの心の健康にも影響があります。
それだけにこの3つの基本はどれも欠かすことができない要素であると言えます。
今回は、その中でも寿命に特に影響のある健康管理の部分の“病気や疾患”にフォーカスをあててお話します。
ボーダーコリーに多い病気や疾患
ボーダーコリーは牧羊犬がベースであるため、非常に体力があり健康そうに見えますが、かかりやすい病気としては以下のようなものがあります。
- 股関節形成不全
- 肘関節異形性
- コリーアイ異常(コリー眼異常)
- 白内障
- 進行性網膜萎縮
- セロイドリポフスチン症(CL症)
また、ボーダーコリーに多い病気は生まれた時から発症している先天的な疾患が多いと言われています。
先天性の疾患が多いからこそ、よく様子を見て早く気付く必要があると言えるでしょう。
ブルーマールならではの病気や疾患
もともと、先天的な疾患が多いボーダーコリーですが、ブルーマールになるとマール因子が身体に影響して、遺伝的な疾患が起こるリスクが高くなります。
先ほど述べた病気に加えて、先天的に視覚や聴覚などの五感の障害があるパターンや心疾患があることがよく見られます。
ブルーマールでは、ほかの一般的なカラーのボーダーコリーと比べてより一層注意深く見る必要があるでしょう。
結局どうすればいいか?
ここまでは、簡単にボーダーコリーやブルーマールに起こりやすい疾患についてお話ししました。
では疾患について知ったうえで、ブルーマールが長く健康で幸せにいるためにどうすればいいでしょうか?
先ほどから述べていたのは、先天的な疾患が多い故に少しの変化も見逃さないことが必要です。
股関節形成不全では生後4~12か月の間に発症すると言われているので、赤ちゃんの頃からの動きを知っていれば異変に気付けるのではないでしょうか。
一方で、異変に気付くことも大事ですが気づいた後にどうするかが重要です。
そこで、ペットショップやブリーダー、獣医師などの専門家の力を借りることが必要になります。
専門家と良い関係を築き、飼っているブルーマールが幸せな環境にいられるためのパートナーシップが重要になります。
そのブルーマールを引き取ったショップないしブリーダーから既往歴や性格などをしっかり聞き、その上で環境をつくることが大事です。
また、疾患が起こった際にかかりつけの獣医師を決め、健康上の相談ができる関係性があれば、飼い主さんとしても心強いでしょう。
これは健康の基本の3つの要素の“飼育環境”にもあたります。
自分のブルーマールのことを専門家などの力も借りながらしっかり把握し、環境を調整するコーディネーターの役割が飼い主に求められると私は考えています。
まとめ
今回はボーダーコリーのブルーマールの寿命と健康についてお話していきました。
ブルーマールと末永く幸せに暮らすためにできることとして、以下のようなことをお話してきました。
- 普段からの様子との変化に気づけるよう、よくブルーマールのことを観る。
- 専門家と連携を取りながら、問題が起こったら一緒に解決できる体制を作り、活用する。
- 他の愛犬家ともつながりを持ち、相談できる関係性を持つ。
ボーダーコリーは先天的な疾患が多いことに加えて、しつけも難しい犬種で飼うことが難しい犬種として有名です。
飼い主一人だけでは抱えきれず、結果として飼い主も犬も辛くしんどい状態に置かれてしまう可能性があります。
そうなる前に獣医やブリーダーなどの専門家とのつながりや時には他に犬を飼っている近所の愛犬家などの横のつながりも大事になるでしょう。
少し横道にそれますが、私はソーシャルワーカーという仕事をしていて、環境を整えるために医師や福祉サービスなどと連携を取ることを目的にしています。
今回、お話ししたこともまさに飼い主がソーシャルワーカーのようなことをしているのだ、と私は思いました。
そうすれば、悩みも喜びもみんなで分かち合うことができるでしょう!