土佐犬を飼ってみたいけど、どんな犬なのかな?と思っておられる方、ぜひ一緒に土佐犬について考えてみませんか?
土佐犬といえば、大きくて筋肉質の立派な身体、そして、なんといっても闘犬としての強いイメージをお持ちの方が殆どではないでしょうか。身体といい、顔つきといい、いかにも闘う犬といった感じですよね。
そして、ちょっと悲しいことに、時々、犬が人間やほかの犬を噛んでけがを負わせた、というニュースでは加害側となっていることがあります。
なので、怖い・凶暴・危険 と敬遠される方も少なくないですね。
でも、犬大好きの私としては、ちょっと物申す!なんです。
犬が絡む事件の背景には、人間の間違った飼育やしつけ方、他者への配慮に問題がある場合が殆どです。
土佐犬に関する事件の事例を調べてみても、やはり飼い主側がきちんと役目をはたしていなかったために、不幸な事件となってしまったことがわかりました。
大きい犬って、それだけでも怖がられたり、嫌がられたりすることが多いですよね。
私は大型犬が大好きなので、訳もなく敬遠されると悲しいし、きちんと飼ってあげれば何の問題もないと思っています。
ただ、大きいがゆえに、だれでも気軽に飼うことはできないですし、むしろ飼い主としてふさわしいかどうか、飼う側が審査されてもいいぐらいです。
ましてや、闘犬としての使命をもって生まれてきた土佐犬なら、尚更、飼い主の資質が問われて当然でしょう。
ここでは、土佐犬についてしっかり理解していただくために
- 土佐犬ってどんな犬?
- 闘犬とは?
- 土佐犬を飼うにあたってのポイント
について挙げてみました。
土佐犬を飼うにあたり、知っておいた方がいいことついて、一緒に学んでいただければ幸いです。
土佐犬ってどんな犬?
土佐犬の歴史
14世紀ごろ、現在の高知県に当たる土佐藩で、藩士の士気を高めるために闘犬が行われていました。
そのころに用いられていたのは、現在の四国犬です。
元々は狩猟犬として活躍していましたが、明治時代に入ると、より戦いに適した犬にするために、オールド・イングリッシュ、イングリッシュ・マスティフ、ブルドッグ、ブルテリア、グレートデンなどを交配することで、品種改良し、大きくて闘争心のある、粘り強い犬、土佐闘犬を作り上げたのです。
現在、土佐犬と呼ばれているのは、この土佐闘犬の方です。
マスティフの特徴を色濃く残すことから、ジャパニーズマスティフといわれ、海外でも人気が高いですが、一部の国や自治体では危険犬種として、飼育の禁止や規制があります。
土佐犬はより闘争心の強い犬種として作り上げられ、まさに闘う犬という使命をもって生まれてきているのです。
土佐犬の身体的特徴
体高…60㎝前後
体重…30~100㎏(品種改良を重ねたため、個体差がある)
頑丈そうな筋肉質な体と、噛まれても痛くないように、大けがをしないように、顔やのど、首周りの皮膚はたるんでいます。
たれ耳で真っ黒な瞳、戦う際に噛む力が必要なので、あごは幅広く、口全体が四角い形をしています。あごの力を最大限に使うため頭は幅広く、黒く角ばった大きめの鼻、太くしっかりした尻尾が特徴です。
毛色は、茶色を基に、アプリコット・ブラック・縞模様のプリンドル、胸元が部分的に白い場合もあります。毛質は固くて短毛です。
見た目はとてもいかつい感じもありますが、いろんな写真を見ていると、とても情けない表情や、かわいらしいやんちゃな表情があったりと、闘犬とはいえ、ごく普通の犬らしさもちゃんと持ち合わせていることがわかりますね。
土佐犬の性格
大型犬らしく寛容で穏やか。
聡明で飼い主に対して忠実です。
信頼関係を築けば最強のパートナーとなります。
闘犬として作り出された犬種だけあって、内側には秘めたる強い闘争心をもっています。
知らない人や他の犬に対しては警戒心が強く、なにかのきっかけで攻撃的な態度をとり、一度戦うと決めたら、怖がることなく突き進み、忍耐強く立ち向かいます。
土佐犬といえば闘犬、なんとなくそういうイメージはありましたが、歴史をたどっていくと、闘犬として品種改良され、現在のようになったとのこと。
あの堂々たる、また悪く言えば獰猛ともとれるたたずまいは、人間が作り出したものだったんですね。
もとは、四国犬が土佐犬だったというのも初めて知りました。
私は雑種を飼っていたので、犬の性質は単なる個体差、ぐらいに思っていました。
でも、土佐犬のように人間が手を加え、闘うことを使命として生まれてきた犬を飼うということは、簡単ではない、それ相応の覚悟がいるんじゃないかなって思ってしまいます。
闘犬とは…
犬と犬を戦わせる格闘技です。
古代から世界の様々な地域で行われてきましたが、現在は動物虐待だとして、禁止している国が多くなっています。
日本では【犬くい】【犬合わせ】ともいわれていました。
鎌倉時代から実施の記録があり、その姿は鳥獣人物戯画にも描かれているほど、歴史のあるものです。
現在も国としては禁止していません。
闘犬といえば、日本では土佐犬のイメージですが、以前は秋田犬も闘犬として戦っていたそうです。
現在、日本では【土佐犬友好連合会】というNPO法人が主体となって、闘犬についての正しい理解を得るために、飼い方の講習会などの文化活動を行っています。
もちろん、毎年闘犬も行われています。
皆さんもよかったら一度、HPを見てみてください。
土佐犬や闘犬に対する思いのこもった取り組みを感じることが出来ます。
闘犬の細かいルールなども知ることが出来ます。
土佐犬は歴史ある闘犬の担い手であり、資質のある土佐犬ならば、闘犬で勝つために鍛錬し、みごとに王者になることを目標にするのが当たり前の姿なのです。
普通のペットとして飼うにはふさわしくないのでは、という思いがやはり強くなりました。
闘犬に対しては
「ひどい」
「可哀想」
「動物虐待では?」
などの声があります。
反して、歴史あるものとして、正しく継承していくために活動している人たちもいます。
どちらがどう、とは個人的な見解が分かれるとは思います。
ただ言えることは、土佐犬は、もともとは闘犬で勝つために作り上げられた犬種であり、私たち人間は、この犬種の特性を知り、きちんとしたしつけをし、社会の中で堂々と暮らせるようにしていかなければならないのだということです。
土佐犬を飼う時に守ってほしいこと
土佐犬は、元々闘犬用に作りだされた犬のため、興味本位で飼育したりペットとして飼育するのはなかなか厳しいということがわかりました。
適切なしつけを怠ると、制御が不能となる可能性が大きいので、幼犬時から、愛情と忍耐を持ち、一貫性のある訓練を心掛け、たっぷり時間をかけて信頼関係を築ける人向けの犬種です。
土佐犬を飼うために心がけてほしいことをいくつか書いてみますね。
きちんとしつける
子犬の成長に大きく関係するのが、生後3週から12週の【社会化期】です。
この時期に人や物などに慣れるように、たくさんのいい経験をさせてあげることは、その後の性格や警戒心の強さなどに影響します。
基本的には穏やかですが、何かきっかけがあると、闘争本能を発揮し、大きな事故につながります。
周囲に怪我を負わせることのないよう、子犬の頃から服従トレーニングを繰り返すことです。
信頼できるリーダーになる
闘犬は、飼い主の指示により闘いを開始し、指示により闘いをやめます。
いくら興奮していても、飼い主の指示には絶対に従う性格のため、飼い主はしっかり信頼関係を作り上げることで、忠実なパートナーとなります。
どんな時でも冷静に、威厳のある態度をとり続けること。
叱るときはしっかりと叱り、甘く見られないようにすること。
ただし、力で制圧せず、押さえつけるような態度は避けてください。
散歩をするときは・・・
十分な運動量を確保することは大切です。
一日2回、1回1時間程度の散歩は確保するように。
ただし、子犬の頃に無理な運動をさせてしまうと、後々股関節のトラブルが起きることもあるので、要注意です。
土佐犬に限ったことではありませんが、犬も人と同じで、生活リズムや運動はストレスの有無に大きく影響します。
特に、土佐犬は、あの逞しい身体を維持するために、十分な運動量が必要とされます。
運動量が足りないと、ストレスがたまり、物を破壊したり、他者への攻撃的な態度が強くなります。
散歩時は、服従訓練もかねて、きちんと指示を出し、他者への配慮も怠らないようにしてください。
土佐犬は、他の犬に対する警戒心が高いため、他の犬と遊んだりするのが苦手です。
ドッグランなどでの遊びは不向きです。
また、いくら犬を飼っているからといって、すべての飼い主がすべての犬に対し寛容であることはなく、特に小型犬しか飼ったことのない人は、大型犬には恐怖心を持っていることも多いです。
小型犬が、しつこく吠えたてることもあり、それに反応した土佐犬が、相手の犬に怪我を負わせてしまうと可能性もあるので、十分注意するように。
散歩のときは、必ず首輪をつけ、きちんとリードをつけるようにしてください。
人が多い場所に行くときは、時には口輪を使用することも考えましょう。
避妊や虚勢をすることでも大人しくなります。
快適な環境で
大型犬なので、広々としたスペースの、しっかりした頑丈な犬舎を用意してください。
犬舎は日当たりよく、排水のいい場所に設置し、犬舎内でも鎖につなぐ方がいいでしょう。
簡単に人が出入りできないよう、特に小さい子供だけで近づくのは避けるようにしてください。
まとめ
土佐犬について
- もともとは闘犬として品種改良された犬種であること
- 闘犬とはどういったものか
- 土佐犬を飼うにあたっては、しつける側が注意するべきポイントがある
という点について書いてみました。
犬はその犬種にかかわらず、自分がリーダーだと認識した人間に対しては忠実で、指示に従うことを生業と感じているところがありますよね。
皆さん、試しにご自身が飼っている犬に、コマンドを出すときの表情をよく見てみてください。
こちらの顔を見て、次はどんな指示が出るのかな?というような顔をしていませんか?
そうなんです、犬という生き物は、私たち飼う側の人間の気持ちを汲み取って、その指示に忠実に動くことで、お互いの信頼関係を深めることにとても喜びを感じる生き物なのです。
ましてや、土佐犬というのは、闘犬という歴史ある厳しい世界の中で、飼い主との信頼関係を深めながら、より強くなるために忍耐と鍛錬を怠らず生きてきた犬なのですから、尚更、飼い主に対する忠誠心というものは大きいのです。
私たち人間は、そんな土佐犬の思いにこたえるべく、信頼に値する飼い主として、その子の一生を汚すことなく、全うさせてあげないといけない。
悲しい事件が起きないよう、十分な配慮を怠らず、自慢の飼い主となれるよう、努力していきたいものですね。
皆さんが土佐犬との毎日を、快適に豊かに過ごせますように。