土佐犬と聞いてどんな言葉が思い浮かぶでしょうか?
飼い主に忠誠心を持っていて、堂々とした風貌が魅力的。
まわしをつけた姿は迫力満点!
しかし、その一方で
「土佐犬って危ないんじゃないの?」
という声があるのも事実です。
咬傷事故を起こし、人間や動物を死亡させてしまったという痛ましいニュースも何度かありましたよね。
このような事故を未然に防ぐ事は出来なかったのでしょうか?
実は土佐犬の歴史を辿ると、この様な事故を防ぐ解決策が見えてくるんです。
まわしをつけ圧倒的な存在感を放つ土佐犬に一目ぼれしてしまった筆者。
土佐犬が危ないだけの犬種ではなく、魅力的な犬種である事をぜひ知ってもらいたい!!
そこで土佐犬の歴史や気質、事故を防ぐ為にどうすればいいのかをまとめてみました。
土佐犬の歴史
土佐犬の歴史は古く、14世紀(鎌倉時代〜室町時代)頃からだと言われています。
強い犬を求めて作出・繁殖された犬種で、戦う為に生み出されました。
四国犬にイングリッシュマスティフ、ブルテリア、ブルドッグ、グレートデーンをかけあわせて作りだされた大型犬で、別名、ジャパニーズマスティフと呼ばれています。
古代ローマ人がコロッセウムで奴隷や剣闘士同士を戦わせ、見世物にしていたのは有名な話ですが、闘犬も同様に娯楽が目的でした。
余興の一環として、ローマ人が軍用犬だったマスティフ系の犬を戦わせたのが闘犬の始まりです。
ひどい場合、どちらかが死ぬまで戦わせる事もあったそうです。
〚NPO法人全土佐犬友好連合会〛によると、日本は細かいルールがあるので、基本的には時間内、無声で戦う意思を持ち続けたほうが勝ち、死ぬまで戦わせるという事はありません。
動物が争っている姿を見て楽しむ・・・
娯楽がたくさん選べる現代人の我々から見ると、ちょっと理解しがたい気がします。
戦う為に生まれてきた土佐犬、どんな気質を持っているのでしょうか?
土佐犬の気質
戦う為に生み出されたのですから、当然闘争心があります。
忍耐強い性格で飼い主には従順、警戒心が強いので番犬に向いています。
飼い主には忠誠心を示しますが、興奮してしまうと飼い主に対しても容赦なく襲いかかってしまう習性があります。
他の大型犬の場合、制御出来なくても、人間にとって重篤な事故が起こる危険はほとんどないので、闘犬として生まれた気質を制御するのは難しいのでしょうね。
怖いイメージばかり目立ってしまいますが、大型犬らしい穏やかな一面もあるんですよ。
闘争心を刺激させない環境、幼い頃からの正しい躾、飼い主の知識と理解力があれば、頼もしいパートナーになってくれるでしょう。
なぜ危ないって言われるの?
咬傷事故などを起こしてしまった土佐犬達。
彼らの多くは事故を起こした後、殺処分されています。
尊い命が奪われるのは本当に悲しいです。
実は、これらの事故の多くは、土佐犬が脱走したり、飼い主が放し飼いにしてしまった為に起こっています。
飼い主の管理に問題があったんですね・・・・
イギリス、フランス、ドイツでは危険な犬種として規制の対象になっていますが、日本では国からの規制はありません。
市町村単位で特定犬種として届け出が必要な場合もありますが、基本的に飼育に関しての申請や許可は不要です。
申請や許可は不要とはいえ、飼い主には管理能力と責任感が必要だという事は言うまでもありません。
人間が戦う為に意図的に生み出した犬なのに、人間のずさんな管理で【土佐犬は危ない】って言われてしまうのは、正直とても切ないです。
どうすればいい?
まず、土佐犬にとって必要なのは十分な運動。
運動不足がストレスとなり、問題行動へと発展してしまう恐れがあるからです。
生後3〜12週齢の期間は、犬の成長に大きく関係する時期です。
この期間に人や物に慣らしながら、良い経験をたくさんさせてあげて、社会に適応できるように躾をしなくてはなりません。
躾というのは、飼い主の義務ですよね。
土佐犬に限らず、犬には性格もあるし感情も持っています。
モノではありません。
きつい表現になりますが、飼い主の所有欲求を満たす為に存在しているわけではないのです。
確かに土佐犬の様な闘犬と颯爽と歩く姿はカッコいいと思います。
でも憧れだけは飼えないのが土佐犬なんです。
飼い主にも容赦なく襲い掛かる気質を持つ土佐犬に対して、どんなに興奮しても制御する事が出来るだけの飼い主との上下関係が大切です。
躾に関しての知識があり、それを実行できる力と責任感。
これらを兼ね備えていないと土佐犬を飼育する事は出来ません。
生半可な憧れだけでは無理で、犬の飼育初心者には向いていません!!
ペットを甘やかしてあげたいと思う人にも不向きです。
信頼関係を築く事が出来れば、忠実で最高のパートナーになってくれる。
そんな土佐犬の魅力を引き出すのは、飼い主さんにかかっているんです!
まとめ
- 土佐犬は戦う為に生み出された犬種
- 闘争心があるのは当然
- 事故の多くは飼い主の管理不足
- ストレスを貯めないために十分な運動が必要
- 幼い頃から社会に適応出来るように躾をする必要がある
犬同士が戦い強さを競う闘犬、賛否両論ありますよね。
私もどちらかといえば、争ってほしくないなあと言うのが本音です。
けれども、歴史あるこの大会を存続させるために、時間と労力を惜しまず土佐犬を飼っている方々に対して、尊敬する気持ちがあるのも事実なんです。
もちろん、決して人や動物の命が奪われるような事があってはいけません。
ただ、ニュースなどで知った土佐犬の一部分だけの情報で【土佐犬は危ない】と決めつけて欲しくないんです。
飼い主の関わり次第で、忠実で寛容な一面もみせてくれる土佐犬。
歴史ある闘犬に携わる方々や、土佐犬の魅力について関心を持ち、一人でも多くの方に【土佐犬は危ない】だけの犬ではないと知って頂けたら嬉しいです!