土佐犬の大会は続けるべき!?伝統ある大会が始まった理由とは!? 

古くから行われてきた歴史ある闘犬。
犬同士が戦う大会について、どんな印象を持ちますか?

まわしをつけて堂々と佇む土佐犬の存在感はハンパないですよね。
その土佐犬が戦う姿は、まさに圧巻。

今でこそ、この大会は娯楽として存在していますが、実は全く違う理由で始まりました。

現在、動物愛護の観点から、衰退しつつある土佐犬の大会。
大会の存続に賛否両論があるのは、当然の事でしょう。

ただ、長い歴史があるこの大会を一方的に反対するのは、ちょっと違うんじゃないかって思うんです。

私も以前は、犬が戦う姿を見て、

「何の意味があって戦わせてるのっ!?」

と疑問を持っていました。

犬同士戦う姿は、私に土佐犬について調べるきっかけを与えてくれたんです。
そして、調べれば調べるほど、奥深い歴史がある事を知りました。

「暴力的な大会だから廃止すべき!」

なんて一言で簡単に言えるものではないと気づかされました。

なぜ、土佐犬の大会が始まったのか、また、闘犬のルーツ伝統についてお話したいと思います。

長い道のりを経た歴史

14世紀以上前、日本で盛んに行われていた土佐犬の大会。

土佐藩(現在の高知県)から始まったこの大会の主な目的は【藩士の士気を高めるため】でした。
土佐犬が戦う姿を観て藩士たちは、自分たちの士気を高めていたんですね。

当時庶民の間で闘犬が流行し、度々禁止令が出されていました。
が、それでもひそかに飼育する愛犬家は後を絶たなかったのだそうです。

明治維新後に、庶民に対する〚畜犬禁止令〛が解禁されたのですが、この反動で闘犬の急拡大が懸念されるようになったのです。

闘犬の急拡大を恐れた高知県は〚闘犬取締令〛を出しました。
そのため、土佐闘犬は次々と捕獲、撲殺されるように・・・。

この方針に愛好家からの非難が相次ぎ、〚闘犬取締り規則〛が発布、課税による許可制に移行。

長い道のりをを経て今にいたります。

士気を高める為に戦わされたり、闘犬の急拡大を恐れて撲殺されてしまう。
土佐犬が、人間の勝手で振り回されているように感じるのは、私だけでしょうか?

土佐犬のルーツと特徴

土佐犬は四国犬と呼ばれており、狩猟犬として活躍している犬種でした。

明治時代になって、オールド・イングリッシュ・マスティフ、ブルテリア、ブルドッグ、グレートデンと交配し、大型化されていきました。

まさに、戦う為に生み出された犬種。

土佐犬に闘犬としての【本能】があるという事を忘れないでほしいと思います。

事実、飼い主のしつけや管理が不十分なせいで、人や動物に危害を加える事故が起きたこともあります。

もともと、闘うことを基本とした生活を送っている土佐犬は、家庭犬のように過ごす事は出来ないんです。

きちんとしつけされた土佐犬は、飼い主に従順だと言われていますが、戦闘スイッチが入ってしまうと、その飼い主にさえ襲いかかります。

土佐犬による事故があった場合、土佐犬の凶暴さばかり目が行ってしまいますが、その背景を知る必要があると思いませんか?

飼い主は土佐犬の特性をよく理解してしつけ、管理を怠らなければ、事故は起きないと言われています。

事故は、飼い主の責任です。

土佐犬が人間によって、闘犬用に交配改良されて作られた犬種である事を踏まえた上で、大会について、お伝えしたいと思います。

土佐犬の大会は伝統行事

日本では、〚動物に対して限度を超えた苦痛を与えるような手段、方法を用いた場合〛を除いて、伝統的な闘犬大会は動物虐待にはならないとしています。

土佐犬の大会は、国が認めた古くからある伝統行事。
国には闘犬を禁じる法律はありませんが、自治体によって条例で禁止している所があります。

土佐犬の大会は〚厳格なルールのもと行われる犬の格闘技〛

時間内に声を出さず、戦う意思を持ち続けた犬が勝利。
数秒で勝敗が決まることもあるんです。

また、相手を威嚇して吠えたり、戦意なく逃げたりした場合、その場で負けが確定します。

世界各国で娯楽として楽しまれてきた闘犬は〚ブラッド・スポーツ〛と呼ばれていました。
ブラッド・スポーツとは、血の闘いと言う意味。

ネーミングを聞くだけでも怖い・・・。

アメリカではどちらかが死ぬまで闘わせるそうです。
命がけで戦わせるなんて、どこが娯楽なのか、と理解に苦しんでしまいます。

現在、日本で精力的に闘犬大会が行われている青森県は闘犬大国と呼ばれており、毎年「全土佐犬友好連合会」による闘犬大会が開催されています。

今もなお根強い人気があり、闘犬の歴史を守る為に活動している団体も少なくありません。

条例で禁止している地域はあるものの、法律で禁止はされておらず、現在も文化・慣習として定着している地域があります。

闘犬は、動物愛護の観点から、ほとんどの国で禁止されていますが、日本では伝統を守るという考え方があります。

伝統的な行事として社会的に容認されている闘犬は、愛護法上の虐待にはならないんですね。

とは言え、闘犬の文化が衰退しつつあるのは事実です。

藩士の士気を高めるため、また人間の娯楽の為に始まった土佐犬の戦い。
動物愛護が謳われる現代の社会で、動物虐待として非難されるのは、当然の事だと言えるでしょう。

2010〜11年には、〚動物愛護管理のあり方検討小委員会〛が環境省で開かれました。

そこでは、闘犬に対して、

「残虐」
「目を覆いたくなる」

といった批判的な意見が多く出たそうです。

そして、東京都、神奈川県、福井県、石川県では条例で土佐犬による闘犬が禁止される事になりました。

まとめ

  • 藩士の士気を高める為に、土佐犬の大会が始まった
  • 土佐犬は戦う為に生み出された犬種
  • 日本で土佐犬の大会は伝統行事として認められている
  • 現在、動物愛護の観点から、闘犬文化は衰退している

古い伝統がある土佐犬の大会。

土佐犬の本能を利用し、人間が自分たちの為に作り出した大会だと言えるでしょう。
この大会の一面だけを見れば、残虐で継続させる必要があるのか、と考えさせられます。

正直に言うと私自身は、大会が存続される事に反対する気持ちがあります。
犬が人間の娯楽目的で辛い思いをするのは、良い事だとは思えないからです。

ただ、闘犬の文化や、土佐犬が生き残る道を守る方の姿を尊敬しているのも事実です。

何百年も続く伝統を守るため、土佐犬を愛情を注いで飼育されている方や、大会の存続に力を注いでおられる方に対して、頭ごなしに反対するのは違うと思いませんか?

人間の都合で始められた闘犬の歴史を知り、その知識が、人間に振り回されながらもたくましく生きる土佐犬と、伝統行事として続く大会への理解につながるよう願っています。